世界との差。進化が止まらない守備戦術。カタールW杯を目前にセンターバック・鈴木大輔が熱く語る。

 
<THINET>ブランドアンバサダーでもありロンドン五輪世代を代表する国内屈指のセンターバック鈴木大輔。各世代の代表を経験しスペインでもプレーをした彼に、カタールW杯を目前に控えたこのタイミングで“世界との差”やスペインとの“守備観の違い”についてを熱く語ってもらった。

Profile
プロフットボールプレイヤー。中学生の頃より各世代の日本代表に選出され高卒でJリーグクラブへ入団。2012年のロンドン五輪では全6試合に先発フル出場し44年ぶりのベスト4に貢献。スペインでのプレーも経験し現在はJリーグクラブでキャプテンも務める。自他共に認める「1対1の守備が売りの昔かたぎのセンターバック」。

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小学生の頃から“勝ちへの拘り”を叩き込まれる。メンタリティーが全然違う。それが世界との差なのかもしれない。

早速ですが11月のカタールW杯について。ピンポイントな質問ですが日本代表はスペイン代表に勝てると思いますか?

鈴木大輔:いやー、楽しみですよ普通に。スペインって結構コケるんですよ予選で。だからあるかも、って思ってます。

 

―世界と対峙する度にこの心配と質問が飛び交う。これもお決まりの質問になってしまいますけど世界との差ってなんなんでしょう?

鈴木大輔:スペインでプレーした時期があったんですけど、実際に行ってみて感じたのは教育の違いでした。子供達がプロと同じ練習をしてる。小学生くらいから戦術理解も高いレベルで求められるので。その点で日本は逆。小学生くらいだと個の技術の向上に重点を置いてるし、今は違うのかもしれないけどプロと同じ練習なんてしない。戦術も大人になるにつれ、ですから。

 

―教育面が決定的な差、ということですか?

鈴木大輔:あとは小学生の頃から“勝ちへの拘り”を叩き込まれる。メンタリティーが全然違う。それが世界との差かもしれない。結局教育ですね、これも。負けてる時の団結力みたいなものは日本の良さとか強みだと思うんですけど、何してでも勝つみたいなメンタリティーではない。僕もそうですけど、例え負けたとしても善戦したことに対する満足感みたいなものがどうしてもあって。けどW杯で毎回決勝トーナメントに進出しているような国の選手はそんなこと絶対ありえない。戦ってるんです、チームとしてだけでなく個人でも。とにかく負けない。負けてイイことなんてない。サッカーとは関係ないテーブルゲーム1つとってもそうですから。

子供から大人まで“サリーダ・デ・バロン”。皆それが身体に染み付いているし実践してる。

―W杯目前、ということもあって“世界との差”について聞かせてもらったんですが、今日は特にスペインと日本の“守備観の違い”についても深堀りさせてもらえたらなと。現在も日本の第一線で活躍していて、スペインでもプレーした経験がある選手だからこその視点で是非。

鈴木大輔:スペインのサッカーってテクニックの部分がクローズアップされがちですけど、僕は守備の国だと思ってます。ご存知かもしれませんが“サリーダ・デ・バロン=ボールの出口”という考えかたがあって。つまり自陣のディフェンスラインでマイボールに変わった時に、相手FWからのプレスをどうやって回避するか、です。スペインでは子供から大人まで“サリーダ・デ・バロン。皆それが身体に染み付いているし実践してる。町の草サッカーレベルでも徹底されてますからね(笑)

 

―面白い!日本だとあまり聞かないというか。それがスペインの最新守備戦術というか、ですか?

鈴木大輔:日本でも最近やり始めてますよ。けどもうスペインは5年先を行ってます。僕の同級生がバルセロナで指導の勉強をしてたんです。最近彼と話したんですけど、またセンターバックのタスクが増えてた。どんどんやること、できるようにならないといけないことが増えて大変ですよ本当に(笑)

 

―凄く興味深いです。スペインの守備は今どんな風に進化してるんですか?

鈴木大輔:さっき言ったみたいに“サリーダ・デ・バロン”というのが基本にはあって。相手FWからのプレスを回避する為にボールの出口を作る=味方ボランチと連携して相手FWと相手MFのライン間でセンターバックがボールを受ける。この動きを必ずしなさい、と。あとは長短のロングパスの正確性が求められているのもそうですよね。ヴィジャレアルのパウ・トーレスとか抜群に上手い。正確なパスで出口に通せるわけですから。ところがスペインの最新守備戦術では“センターバックがドリブルをして相手FWからのプレスを回避しなさい”も加わったんです。センターバック専門の選手からしたらビックリですよ。
センターバックが自陣でドリブルするんですから、積極的に。

 

―僕も学生時代はセンターバックでしたけど、そんな勇気無いです。。。

鈴木大輔:対人での守備、パス精度、連携、相手からのプレスをドリブルで回避する技術、ですからね求められるものが。世界でそれがやれるセンターバックって誰だろう。。。やっぱりパウ・トーレスですね。日本だったらチームメイトの田邊。本職はサイドバックですけどチームの事情でセンターバックやってみたら上手くハマって。ドリブルでプレス回避したり、当然前進もできるし、現代を象徴するセンターバックになるかも。あとは冨安君。言うまでもないですね。本職がセンターバックなのにアーセナルでサイドバックもやれちゃうんですから凄い。

日本の守備は間違いなく世界で通用する。

―スペインを筆頭に世界も日本も守備戦術がアップデートされていることが良く分かりました。日本の守備はどうですか?アップデートされてますか?全部含め。

鈴木大輔:僕、日本人って守備に対する考えかた、戦術がスッと入りやすいというか。文化に合ってると思っていて。攻撃と違って守備ってルール遵守じゃないですか。守備は独創性とか必要ない。海外の選手、特に攻撃の選手は「俺が俺が」が多くて、センターバックの選手ですら例外ではない。そんな中にあって規律が守れる日本人の文化は強い。日本の守備は間違いなく世界で通用してるはず。

 

―お話しを聞いていたらW杯のスペイン戦がメチャクチャ楽しみになってきました。一見して地味に見えるけど守備も奥が深い。センターバックとしてご自身はこれから更にどんな進化を遂げますか?

鈴木大輔:ピッチの上で“どうやってそこに居るか”。そういうことに拘ってやっていきたいです。自分が何かをして輝くのではなくて。中澤さんとか闘莉王さんとか、チェルシーのチアゴ・シウバもそうですけど、ピッチに居るだけで全然違うんです。そういう選手になりたい。勿論チームの戦術に沿ったプレーをするとか、技術的な成長は追及する前提で。佇まいとか、堂々と立ち振る舞うとか。居るだけで守れるセンターバックになりたいです。センターバックを極めたいんです。

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